やんツー+石毛 健太《カーゴ・カルト》(2015)

EXHIBITION展示

石田 尚志《フーガの技法》(2001)

J. S. バッハによる「フーガの技法」に触発されて制作された抽象アニメーション作品。全18曲からなるこの楽曲の中から3曲をモチーフにして、それぞれの主題とフーガの重層的な構造と展開を視覚的イメージに置き換えようとする石田の途方もない根気と熱意によって実現された。次第に複雑さを増していく楽曲の展開に応じて、線や幾何学的形態が変化を続けていく。紙にインクで手描きされた素材は1万枚以上におよび、ドローイングの工程からコマ撮りによる映像化までに数年が費やされた。1990年より本格的に絵画制作を、92年頃に映像制作を開始した石田が大きく注目を集めた記念碑的作品。

《フーガの技法》(2001)
19’00" *オリジナル:16mmフィルム(サウンド)
Courtesy of Taka Ishii Gallery

落合 陽一《コロイドディスプレイ》(2012)

超音波を当てることで、極薄のシャボン膜をスクリーンする画期的なシステム。超音波の周波数をコントロールし膜を微細に振動させることで、光の乱反射に加え、質感の変化を生み出すことができる。コロイド状の液体できたこの小さなスクリーンには、コガネムシや魚など反射し光るもの、カーペットや木、人の顔、地球などさまざまなものが映し出されるが、流動しつづける半透明の膜の上で、リアルでありながらもヴァーチャルに接近するかのような、はかなくも不思議な世界を体験することができる。複数のコロイドディスプレイを重ねることで、3D的な表示も可能。東京大学大学院在籍中に、Alexis Oyama(カーネギーメロン大学)、豊島圭佑(筑波大学大学院)とともに開発された。

《コロイドディスプレイ》(2012)

やんツー+石毛 健太《カーゴ・カルト》(2015)

扇風機の風に煽られて爪先にぶら下がるペンを振り回す兵隊のおもちゃ、お掃除ロボットと戯れながら絵の具の上で抱腹絶倒を繰り返す人形たち…。アーティストが実家から持参した電動玩具や家電製品によって絵画が構成されていくエレクトリカル・オートマティック・ライブ・ドローイング・インスタレーション。家電や玩具の稼働によって、絵の具がキャンバスに付着することで、生み出されるのは「抽象絵画」!?日常のモノを改造し、偶然を歓迎しながらナンセンスで楽しい「破壊的創造」の世界が展開する。

《カーゴ・カルト》(2015)

加治 洋紀・小林 椋・原 淳之助《AMIT2016 × MESH》

ワークショップで参加者とともし制作したMESHを使った作品を展示します。

時間
11:00 - 21:00

プロフィール

石田 尚志

石田 尚志Takashi Ishida
画家/映像作家。多摩美術大学准教授。2007年五島記念文化賞美術新人賞受賞。1999年《部屋/形態》が「イメージフォーラム・フェスティバル1999」で特選を受賞。線を一コマずつ描いては撮影するドローイングアニメーションという手法を用いて、空間のなかに増殖する線や移動する点といった運動性を介入させ、空間の質をさまざまに変容させるインスタレーションを発表している。あいちトリエンナーレ2016参加作家。

落合 陽一

落合 陽一Yoichi Ochiai
1987年東京都生まれ・在住。メディアアーティスト、実業家、研究者。筑波大学助教。落合陽一研究室(デジタルネイチャー研究室)主宰。
応用物理、計算機科学、アートを融合させる研究や作品制作を展開。シャボン膜に超音波を当てスクリーンとする《コロイドディスプレイ》、超音波スピーカーによる音響浮揚技術《ピクシーダスト》など、コンピュータとリアルの世界をつなぐ驚きに満ちた世界を生み出し「現代の魔法使い」とも呼ばれる。
筑波大学学長賞(2011)をはじめ国内外での受賞多数。作家・研究活動に加え、Pixie Dust TechnologiesのCEOの他、ジセカイ株式会社に経営・研究で参画し、学際分野のアウトリーチも活動実績がある。

やんツー

やんツーyang02
アーティスト。デジタルメディアを基盤に、グラフィティやストリートアートなど、公共圏での表現にインスパイアされた作品を多く制作。
2011年から菅野創と共に自律生成型のドローイングマシンの制作を開始し、第15回文化庁メディア芸術祭アート部門にて《SENSELESS DRAWING BOT》が新人賞、機械学習を応用した描画装置《SDM2 - Letters》が東京TDC賞2016にてRGB賞を受賞。国内外の展覧会に多数参加し作品を発表している。

石毛 健太

石毛 健太Kenta Ishige
アーティスト。多摩美術大学情報デザイン学科在学中。2015年8月茅ヶ崎市立美術館にて開催された「正しいらくがき展」にてアーティストのyang02と共に連作インスタレーション《カーゴ・カルト》を制作、出展。同作が2015学生CGコンテストにてノミネート作品に選出され、また、西武渋谷にて行われた「シブヤスタイルvol.9」にも出展される。現在多摩美術大学にて久保田晃弘教授に師事している。

加治 洋紀

加治 洋紀Hiroki Kaji
アーティスト、プログラマー。1989年生まれ、多摩美術大学情報デザイン学科情報芸術コース(現メディア芸術コース) 卒業、同大学大学院修士課程情報デザイン領域在学中。学部の時はシステムや構造をテーマにした作品を制作、現在は映像制作や商業インスタレーション・デジタルサイネージ等の開発が主な活動。

小林 椋

小林 椋Muku Kobayashi
1992年生まれ、多摩美術大学大学院修士課程 情報デザイン領域在学中。音や聴取をテーマに簡単な動きをする機構や廃材などのモノを組み合わせたインスタレーションの制作を行う。主な展覧会に「TOKYO EXPERIMENTAL FESTIVAL Vol.9」(トーキョーワンダーサイト本郷、2014)、「ゲンビどこでも企画公募2015」(広島市立現代美術館、2015)など。
http://pocopuu.net

原 淳之助

原 淳之助Junnosuke Hara
アーティスト。1993年9月7日群馬県出身。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース在学中。作品制作以外にも映像制作、プログラミング、Webサイト制作、VJなどを行う。第21回学生CGコンテスト ノミネート「道程」。